2019.10.4

Learning to Reconstruct Shape and Spatially-Varying Reflectance from a Single Image

画像から形状と反射特性を再構築することは、非常に制約の厳しい問題であり、専用の測定器を使用して較正済みデータを取得するか、
既知の(または高度に制約された)形状または反射を仮定することで対処されている。
対照的に、本手法では未知の環境照明とフラッシュ照明の組み合わせの下で撮影された単一のRGB画像から、
任意の形状に属する非完全拡散型の、空間的に変化するBRDFと複雑なジオメトリを復元できることを示す。
これを実現するには、ディープニューラルネットワークを学習して、画像から形状と反射率を回帰する。
本ネットワークにおいて注目すべき点が3つあり、それらがこの問題への対処を可能にした。
まず、手続き的に生成された形状の大規模なデータセットと、実世界の外観によく似た実世界の複雑なSVBRDFを構築する。
第二に、単一画像のインバースレンダリングには複数のスケールでの推論が必要であり、
これを扱いやすい方法で可能にするカスケードネットワーク構造を提案する。
最後に、現実世界のシーンに重要なグローバルイルミネーション効果を処理することにより、
再構築タスクを支援するネットワーク内レンダリングレイヤーを組み込む。
これらの貢献により、インバースレンダリングの問題全体に総合的に取り組み、
合成データと実際のデータの両方で最新の結果を生成することが可能となった。
(発表者:福本 健亮)


2019.10.11

Optimal Step Nonrigid ICP Algorithms for Surface Registration

Brian Amberg, Sami Romdhani, Thomas Vetter

2007 IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition

Iterative Closest Point (ICP)アルゴリズムは,2つの3次元点群の位置合わせのために最も広く用いられている方法の1つである.
ICPアルゴリズムは,基本的に最近傍点との距離が最小となる変換行列の探索を繰り返すことで剛体変換を達成するが,
2つの点群間の初期位置に依存するため局所解に陥ることがある.
また,本論文では,非剛体に対応した3D点群位置合わせのためのOptimal Step Nonrigid ICPアルゴリズムを紹介する.
最適化のためのコスト関数に剛性を決定するパラメータを取り入れ,3次元点群によって剛性度を最適化することで,
ICPアルゴリズムの収束特性を保持しながらも非剛体変換に拡張する手法を提案する.

(発表者:野村 郁実)


Dimensional Affect Recognition from HRV: an Approach Based on Supervised SOM and ELM

Bugnon, Leandro Ariel, Rafael A. Calvo, and Diego Humberto Milone

IEEE Transactions on Affective Computing (2017)

ラッセルの感情次元モデルにおける感情認識は挑戦的なトピックであるが,
現在の技術はまだHCIアプリケーションに必用な精度に達成していない.
しかし近年のセンサーエンジニアリングの進捗により,生体情報の推定精度が向上し,
自然環境でこの信号が取得できるようになり,HCIシステムの可能性が広がっている.
そこで本研究では,2つの新しい手法を提案する.
1つ目は取得したHRV特徴量と感情の類似性から学習する新しい自己組織化モデル(SOM)である.
多次元データをグラフィカルに表現することで,従来ブラックボックスとして省略されてきた特徴量と感情の関係性を見出す.
2つ目はエクストリームラーニングマシン(ELM)を利用して感情の次元回帰を行うことである.
ELMは低い計算コストで高速かつ正確なパフォーマンスが実現できることが従来の研究で分かっており,
本研究においても最先端のモデルよりも優れていることを示した.

(発表者:増井 健太)


2019.10.18

Diagnostic method of diabetes based on support vector machine and tongue images

Jianfeng Zhang, Jiatuo Xu, Xiaojuan Hu, Qingguang Chen, Liping Tu, Jingbin Huang, and Ji Cui

BioMed research international, 2017

本研究の目的は,サポートベクターマシン(SVM)を使用して,
標準化された舌画像に基づく糖尿病の診断方法を開発することである.
舌診断とは漢方(TCM)における最も主要な診断方法の一つであり,
医師は患者の舌を見ることで,体調,臓器の不調,病気の経過といった様々な状態を診断することが可能である.
しかし,これは医師の経験に基づく主観的な評価であり,
医師自身の専門的スキルと周囲の環境の影響を受けてしまうことから,
精度と再現性が不明確だという問題を抱えている.
この解決策として,画像処理を適用した客観的かつ定量的な舌診断方法の確立が進められてきた.
本研究では,遺伝的アルゴリズム(GA)によって最適化されたカーネルパラメータを使用した
遺伝ベースSVM(GA-SVM)による舌画像に基づいた糖尿病診断モデルを提案する.
GA-SVMと最先端アルゴリズムを比較検証し,
本診断においてGA-SVMが最も高い予測精度を持つことが示された.
(発表者:小池 黎明)


Measuring acute stress response through physiological signals: towards a quantitative assessment of stress

Adriana Arza, Jorge Mario Garzon-Rey, Jesus Lazaro, Eduardo Gil, Raul Lopez-Anton, Conchita de la Camara, Pablo Laguna, Raquel Bailon, Jorge Aguilo

Medical & Biological Engineerling & Computing(2019)

ストレスに関連する社会的・医学的問題は世界的に増加しているが,
効果的なストレスレベルの監視方法は未だ確立されていない.
本研究では, 急性的なストレスに対して, 皮膚温度や心拍数,
脈波信号などから得られるバイオマーカーを使用して
生理学的ストレス応答を包括的に測定を行う事を目的としている.
本研究で提案される手法を用いる事で,
急性(に変化する)ストレスレベルが1分毎に継続的に推定され,
平常時と比較しストレスタスクの実行時にストレスレベルが上昇する事が確認された.
得られた結果は,生理学的なパラメータのセットから
ストレスレベルを監視できる事を示している.

(発表者:長澤 拓海)


2019.10.18

Automatic Brain Tumor Detection and Segmentation Using U-Net Based Fully Convolutional Network

Hao Dong, Guang Yang, Fangde Liu, Yuanhan Mo, Yike Guo

Medical Image Understanding and Analysis (2017)

現在,手動でセグメンテーションを行うことで脳腫瘍の範囲を特定している.
しかしこの方法では,結果が技師の経験や主観に依存し,また再現性がないという欠点がある.
このような背景より,客観的で再現性のある自動化されたセグメンテーションを行うことが求められている.
そこで本論文では,U-Netベースの畳み込みニューラルネットワークを使用した,
完全に自動化された脳腫瘍検出およびセグメンテーション手法を紹介している.
高悪性度神経膠腫(HGG)および低悪性度神経膠腫(LGG)ののデータに対して
交差検証法を使用して評価を行い,
効率的かつ堅牢なセグメンテーションが実現できることを実証した.
(発表者:角村 真里)


Scattering-aware Texture Reproduction for 3D Printing

OSKAR ELEK, DENIS SUMIN, RAN ZHANG, TIM WEYRICH, KAROL MYSZKOWSKI, BERND BICKEL, ALEXANDER WILKIE, JAROSLAV KŘIVÁNEK

ACM Transactions on Graphics (TOG) 36.6 (2017)

3Dプリントでのカラーテクスチャの再現では一般に,表面点間でのクロストークは無視される.
このような光拡散は細部のぼけと色のにじみをもたらすため,
特に半透明性の高い印刷材料に詳細なカラーテクスチャを割り当てる場合,これは深刻な問題となる.
本研究では不均一な散乱を打ち消し,3Dプリントの表面に鮮明なアルベドテクスチャを再現する手法を提案する.
本手法ではモンテカルロシミュレーションに加え,数値オプティマイザーを使用する.
評価として,商用の5トーン3Dプリントプロセスを使用し,十分な機能が得られることを実証する.

(発表者:永沢 和輝)


2019.11.8

Specular-to-Diffuse Translation for Multi-View Reconstruction

Shihao Wu, Hui Huang, Tiziano Portenier, Matan Sela, Daniel Cohen-Or, Ron Kimmel, Matthias Zwicker

Proceedings of the European Conference on Computer Vision,2018.

多くの多視点3次元復元アルゴリズムは、シェープフロムシェーディングを用いる場合において特に、
オブジェクトの外観が拡散していることを想定している.
この制約を緩めるために、S2Dnetを紹介する.
これは、鏡面反射を伴うオブジェクトの多視点画像を,
拡散反射となるように変換するための敵対的生成ネットワークであり、
より効果的な結果を得られる手法として多視点復元に適用できる.
本手法のネットワークは、教師無しの画像変換を応用して、多視点の“鏡面から拡散”への変換を行っている.
また,複数の視点に渡ってオブジェクトの外観を保持するために、多視点コヒーレンス損失(MVC)を導入している.
これは,視点変換後の局所的なパッチにおける類似性と正確性を評価するものである.
更に、物理ベースレンダリングを使用して、多くの合成教師データセットを綿密に設計・生成している.
テストの間、本手法のネットワークは、分割するためのマスクや照明推定などの追加情報無しで、
光沢のあるRAW画像のみを入力として用いている.
結果として、本手法のネットワークでフィルタリングされた画像を使用することにより、
多視点復元を大幅に改善できることが示された.

(発表者:須藤 寛斗)


Camera-Based Imaging of Oxygen Saturation and Hemoglobin Concentration in Ocular Fundus

KAZUYA NAKANO, RYOSUKE HIROFUJI, TAKASHI OHNISHI, MARKKU HAUTA-KASARI,
IZUMI NISHIDATE, AND HIDEAKI HANEISHI

IEEE Access, 2019.

眼底の観察は,加齢黄斑変性(AMD)や網膜血管閉塞などの眼底疾患の診断に非常に役立つ.
現在,フルオレセイン蛍光眼底造影(FFA)またはインドシアニングリーン蛍光造影(ICGA)を
主流手法として眼疾患の診断に広く使用されている.
しかしこの方法は吐き気、赤いかゆみ、咳などの副作用を引き起こす可能性がある.
従って,本研究は眼底組織の光透過のモンテカルロシミュレーションと重回帰分析を組み合わせて、
眼底の酸素飽和度およびヘモグロビン濃度を測定する方法を提案する.


(発表者:林 夢瑶)


2019.11.15

EmoWare: A Context-Aware Framework for Personalized Video Recommendation Using Affective Video Sequences

Abhishek Tripathi, T. S. Ashwin, and Ram Mohana Reddy Guddeti

IEEE Access, Volume: 7, April 2019

クラウドサービスの普及に伴い近年需要が増加している
パーソナライズされたコンテンツレコメンドシステムにおいて,
個人の長期的な嗜好のみでなく個人の短期的な感情も考慮に入れることが非常に重要である.
本研究では,レコメンドシステムは連続的な最適化プロセスであるという解釈の基に,
人間の感情の時間的性質を取り入れ,種々の感情の強度の影響に着目し,
Recurrent neural network(RNN)と強化学習のハイブリッドアルゴリズムとして
RNN+SARSAとRNN+Q-Learningと呼称する2つのアルゴリズムを用いたビデオレコメンド手法を提案し比較を行った.
RNNとしては,長期依存性を学習できるようにRNNを拡張したLong-short term memory(LSTM)の
順方向モデルと逆方向モデルを相互に接続したBidirectional recurrent neural networkと呼ばれる手法を採用した.
1ヵ月間のシステム評価実験により,提案手法は他の最先端の手法よりも優れた性能を持つことが示された.
(発表者:井内 改人)


Discriminative Signatures for Remote-PPG

Wenjin Wang, Albertus C. den Brinker, and Gerard de Haan

IEEE TRANSACTIONS ON BIOMEDICAL ENGINEERING, VOL. PP, NO. 99, MONTH 2019

近赤外領域を用いた非接触脈波推定は,不可視の光を用いるため暗所においても脈波推定を行うことができる.
しかし,近赤外領域の血液の吸光度は非常に小さく,ロバストな脈波推定は困難である.
そのため,本論文では,近赤外領域を用いた脈波推定の精度向上を目的として,
新しい識別シグネチャベース抽出(DIS)を提案する.
この手法では,新たに脈波推定のための入力として,
カメラから得られた各色の信号に加えて,顔の動きなどから推定された妨害信号を使用する.
この妨害信号も推定に用いることで,外乱を抑制して脈波を推定することが可能である.
近赤外領域で撮影された動画を用いて実験を行ったところ,
最新の他の脈波取得手法より精度よく脈波が推定可能である.


(発表者:高橋 凌)


2019.11.29

Combining Sequential Geometry and Texture Features for Distinguishing Genuine and Deceptive Emotions

Liandong Li, Tadas Baltrusaitis, Bo Sun, Louis-Philippe Morecy

IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition, 2017

本研究では,ビデオクリップから表情認識(本物と偽物の表情を判断)するための新手法を提案する.
web会議で撮影されるような人物動画を利用する場合,
適切な動画分割および人物顔のオクルージョンを考慮して解析モデルを設計する必要がある.
そこで本研究では,適切な動画分割を行うためのTemporal Attention Gated Model(TAGM, 2017)と,
表情の欠損を補間するencoder LSTM(eLSTM, 2016)を組み合わせることで,
入力動画を制限せず高精度に表情の真偽判断が可能な手法を提案する.
TAGMは,LSTMの各時間においてAttention scoreを算出することで,
各フレームの顕著度を計算し,それに基づいて動画をサブシーケンスに分割する.
eLSTMは,表情シーケンスのデータセットで学習したEncoder-decoderに通すことで,
入力シーケンスを正規化し欠損を補完する.

提案手法を真偽表情のデータベースSASE-FEに適用した結果,
Chalearn Lap, Real versus Fake expressed emotions (ICCV workshop 2017) において,
基本6感情の真偽判断精度61%で上位に入賞した.

(発表者:田中 伶実)


Clinical assessment of a non-invasive wearable MEMS
pressure sensor array for monitoring of arterial pulse waveform,
heart rate and detection of atrial fibrillation

Matti Kaisti, Tuukka Panula, Joni Leppänen, Risto Punkkinen, Mojtaba Jafari Tadi, Tuija Vasankari,
Samuli Jaakkola, Tuomas Kiviniemi, Juhani Airaksinen, Pekka Kostiainen, Ulf Meriheinä,
Tero Koivisto & Mikko Pänkäälä

Npj Digital Medicine, published: 14 May 2019

本論文で用いられたMEMSアレイ型センサーは、柔らかい部分を体に接触させ、
その変形による圧力変化を検知して、脈波を検出する仕組みとなっている。
動脈の波形からは、重要な生理的情報が得られる。
そのため、臨床上において、継続的に心臓・血管の状態を計測するための、
低コスト、簡単に装着できるウエアブルデバイスが求められている。
そこで、このニーズに基づいて、柔軟性があり、着用できる微小な電気機械システム(MEMS)センサーが開発された。
センサーの性能評価は ①信頼出来る基準である「侵襲的カテーテル」により得られる記録波形との比較(n =18)
②脈波リズムの不規則性の検出能力(n=18)
③心拍数モニタリングの性能(n=31)であり、結果は次のようになった。
①信頼できる基準の装置と、ウエアラブルデバイスとの比較結果では、ほぼ同一の波形が得られた(r = 0.9–0.99)
②本デバイスは、心拍リズムの計測と、心拍リズムにおいて起こりうる不規則性が検出可能。
クラスタリング分析では、心房細動(AF)と洞調律(正常な心拍)について、完璧な分類精度を示した。
③心拍数モニタリングの性能は、健康な被験者で、ほぼ完璧な心拍間隔の精度が示された(感度= 99.1%、精度= 100%)。
なお、対照的に、冠動脈疾患患者からの心拍間の検出は困難であったが、
平均心拍数は正常に検出できた(95%CI:-1.2〜1.1 bpm)。
結論として、本結果は、この装置が心血管疾患や個別化医療の遠隔モニタリングに役立つ可能性があることを示した。
(発表者:高橋 雅人)