1999.4.23


Projection-based image restoration

Henry Stark, Elwood T.Olsen

J.Opt.Soc.Am.A/Vol.9, No.11/November 1992

この論文では画像復元問題のうち,ノイズ除去に有効であると思われるスムースネスについて議論する.本論文では,スムースネスの拘束条件として微分係数を用いた条件付最小2乗法で設定することで,射影アルゴリズムにのせた復元法を確立する.この方法を他の射影画像処理(ここでは、帯域制限、類似性などが紹介)と併用することで,スムースネスを取り入れた最適な処理結果が期待される.

(発表者 針貝 潤吾)



Radiometric CCD Camera Calibration and Noise Estimation

Glenn E. Healey and Raghave Kondepudy

IEEE Trans. Pattern Anal. Machine Intel./Vol.16, No.3/March 1994

CCDビデオカメラモデルと物体の反射率の物理モデルを用いて,センサノイズとシーンの変化によるディジタル画像の画素値の変化を考える. センサノイズとシーンの影響によるノイズを分離する. 暗電流中の固定パターンノイズと空間的なばらつきについては,この影響を取り除くためにカメラのノイズのパラメータの推定とカメラのキャリブレーションを行なう. また,シーンの変化について推定する方法についても述べる. 実験結果より,この論文で述べたモデルは,ビデオカメラから得た実画像中の異なるノイズ要因をモデル化するのに役立つことを確認した.

(発表者 細井 麻子)



1999.5.7


A Room Temperature LSO / PIN Photodiode PET Detector Module that Measures Depth of Interaction

W.W.Moses, S.E.Derenzo, C.L.Melcher, and R.A.Manente

IEEE Trans. Nucl. Sci./Vol.42, No.4/August 1995

この論文では,4つのエレメントからなるPETディテクタを提案している. これは,室温のもとでLSOクリスタルを用いるものである. また,フォトディテクタとして,PMT(PhotoMultiplier Tube)に加え2×2のPINフォトダイオードも用い,その出力信号をDOI(Depth of Interaction)計測とγ線検出クリスタル判別の両方に利用する. DOIについては,クリスタルを両側から挟み込む形に配置されているフォトダイオードとPMTの信号の比をもとに計測する. その結果,フォトダイオード側でDOI分解能がFWHM4mm,クリスタル判別能95%,PMT側ではDOI分解能がFWHM13mm,クリスタル判別能73%という特性を得ることができた.


Characterization of a 64 Channel PET Detector Using Photodiodes for Crystal Identification

J.S.Huber, W.W.Moses, S.E.Derenzo, M.H.Ho, M.S.Andreaco, M.J.Paulus, R.Nutt

IEEE Trans. Nucl. Sci./Vol.44, No.3/June 1997

この論文は上の2×2構造のディテクタを8×8構造に拡張したものである. するとDOI分解能は8±1%,クリスタル判別能は55±6%(但し,エネルギー閾値を高くすると79±4%までになる)という結果が得られた. DOI分解能に位置による差がなくなったのはクリスタル表面での光子反射率が上昇したためである.

(発表者 西谷 俊助)



Color FM Screen Design Using DBS Algorithm

Qian Lin and Jan Allebach

Proceedings of SPIE - The International Society for Optical Engineering

本論文ではカラーハーフトーン画像を作成する際に用いるディザマトリクスの設計法について述べられている。一様な濃度のグレーパッチをハーフトーン化する場合、各カラープレーンに対し同じディザマトリクスを用いた場合、インクが出力される画素は各カラープレーンで同じため、紙とインクの部分のコントラストが増し、全体の粒状生も増す。よって画像を滑らかにするために各プレーンの出力を分散させるように、各プレーンのディザマトリクスを求めるアルゴリズムを提案する。

(発表者 鈴木 義久)



1999.5.14


Bayesian Pixel Classification Using Spatially Variant Finite Mixtures and the Generalized EM Algorithm

S.Sanjay-Gopal and Thomas J.Hebert

IEEE Trans.Image Processing/Vol.7,No.7/JULY 1998

本論文では、ピクセル分類及び画像分割の問題に、期待値最大化(EM)アルゴリズムを用いた手法が提案される。平均、分散が未知であるガウシアン密度関数の混合の場合を仮定し、アルゴリズムによりピクセルラベル、混合密度のパラメータの最尤推定が導かれる。また、事前密度に基づいたピクセルラベルの最大事後(MAP)推定のための一般化EM(GEM)アルゴリズムが導かれる。そのアルゴリズムでは、各ピクセルラベルの局所最適化を行なうため、M-stepにおいて勾配投影の処理が組み込まれる。アルゴリズムの精度は、CT及びMRIなどからの画像への適応により評価される。

(発表者 佐藤 秀城)



Perceptual Error Measure for Sampled and Interpolated Images

M. R. M. Nijenhuis, F. J. J. Blommaert

J. Imaging Sci. Tech./Vol.41, No.3/ May/June 1997

この論文では、連続的な画像をサンプリング、補間した画像を対象にした知覚的な評価尺度の定義を行なう。 MSEのような既に提案されている尺度は、知覚される画質と相関が悪い。その理由は、これらの尺度が計算に人間の視覚特性を用いていないためである。この論文では、画像の知覚的な評価を尺度に取入れることを試みる。 ここでは、サンプリング、補間処理を行なう際に生ずる劣化の中で、周期構造とぼけが最も支配的であると考え、それぞれの劣化に対する知覚的な評価を得る。その知覚的評価を物理変数を用いて表現し、最終的に総合的な劣化から画質を判断する。

(発表者 馬場 麻貴子)



1999.5.21


Evaluation of linear models of surface spectral reflectance
with small numbers of parameters

Laurence T.Maloney

J.Opt.Soc.Am.A/Vol.3,No.10/October 1986

この論文では,多次元で表された分光反射率データを数個のパラメータを用いた特徴ベクトルの線形和で表すことについて述べられている.次の3点について議論される:(1)分光反射率が数個のパラメータを用いた線形モデルで表される.(2)分光反射率は数個のパラメータを用いて,帯域制限された関数からなる線形モデルで表される.(3)人間の視覚系の分光感度が,分光反射率と線形モデルのフィッティングを強調する.これらの議論と人間の視覚特性から分光反射率を表すために必要なパラメータ数を導き出す.

(発表者 稲川 竜一)



Gaussian Moments for Noisy Independent
Component Analysis

Aapo Hyvarinen

To appear in IEEE Signal Processing Letters

A novel approach for the problem of estimating the data model of independent component analysis (or blind source separation) in the presence of gaussian noise is introduced. We define the gaussian moments of a random variable as the expectations of the gaussian function (and some related functions) with different scale parameters, and show how the gaussian moments of a random variable can be estimated from noisy observations. This enables us to use gaussian moments as one-unit contrast functions that have no asymptotic bias even in the presence of noise, and that are robust against outliers. To implement the maximization of the contrast functions based on gaussian moments, a modificat ion of the fixed-point (FastICA) algorithm is introduced.

This paper is distributed
here as PostScript File.

(発表者 植月 啓次)



1999.5.28


Diffuse-reflectance model for smooth dielectric surfaces

Lawrence B. Wolff

J. Opt. Soc. Am. A/Vol.11,No.11/November 1994

この論文では,滑らかな不均質誘電物体からの拡散反射を予測する反射モデルを提案する.従来のモデルでは,よくLambertian面を仮定しているため,non-Lambertianを正確にモデル化することができなかった.本論文では,不均質誘電物体を空気と異なる屈折率を持つ散乱体の集合としてモデル化し,空気と物体の界面における屈折,表面下における散乱を定式化する.様々な観測結果を用いて,このモデルの正確性を確認する.

(発表者 本間 友之)



Properties and Performance of a Center/Surround Retinex

Daniel J. Jobson, Zia-ur Rahman, Glenn A. Woodell

IEEE Trans. Image Processing

(発表者 高 清)



1999.6.4


On the Limitations of Metameric Imaging

Fridhelm Koning & Patrick G.Herzog

nIS&T's 1999 PICS Conference

現在、カラーイメージングは画像取得、保存、伝送、そして再現を含むすべての 画像処理系を通して3チャンネル処理に基づいている.これは色再現において条件等色 を用いており、このようなシステムはmetameric imagingと呼ばれる.しかし、metameric imagingによる処理は様々な誤差を生じる可能生があり、その大きさについてはあまり 知られていない.この論文では、それらの誤差の原因となるLuther条件、光源の変化を 考慮し、分光情報を用いた場合と比較する.実験によって、metameric imagingシステム には誤差を生じることが多く、分光情報を用いた場合はそれらの誤差がほとんどない ことが示された.

(発表者 近藤 弥)



Effect of ambient light on the color appearance of softcopy images: Mixed chromatic adaptation for self-luminous displays

Naoya Katoh, Kiyotakd Nakabayashi, Mashiko Ito and Shin Ohno

Journal of Electronic Imaging / October 1998 / Vol.7(4)

With the widespread use of color management systems (CMSs), users are now able to achieve device independent color across different media. However, most of the current CMSs guarantee the same color only if one sees color under a controlled viewing condition. If one sees color under a different viewing condition, the reproduction color does not match the original. The effect of ambient light on the appearance of the color of softcopy images is discussed in this article. In a typical office environment, a computer graphic monitor with a correlated color temperature (CCT) of 9300 K is widely used under an F6 fluorescent light of 4150 K CCT. In such a case, the human visual system is partially adapted to the CRT monitor's white point and partially adapted tothe ambient light. A new adaptation model, S-LMS, is proposed to compensate for the mixed chromatic adaptation. Eperimental results indicated that human visual system is 60% adapted to the monitor's white point and 40% to ambient light when viewing softcopy images

(発表者 Chawan Koopipat)



1999.6.11


All-digital ring-wedge detector applied to fingerprint recognition

David M.Berfanger and Nicholas George

APLIED OPTICS / Vol.38 , No.2 / 10 January 1999

コヒーレント光電子工学処理に用いられるアナログ多重素子アレイを、計算機上で シミュレートする総デジタルリング-ウェッジ検出器を紹介する。リング-ウェッジ 検出器はフーリエ面の各周波数帯成分および方向成分を検出するものであるが、 この論文では指紋画像のフーリエ変換および成分検出の処理を計算機で行ない、 ニューラルネットワークを用いて、指紋認識に適用した。様々な条件や 前処理での認識精度を検証し、また本システムを用いた指紋照合システムを 提案している。

(発表者 渡部 雄次)



Incremental Backprojection Alogrithm:
Modification of the Searching Flow Scheme
and Utilization of the Relationship Among Projection Views

Y. J. He, A. Cai, and J.-A. Sun

IEEE Trans. Medi. Imaging, vol.12, 555-559, 1993

CTにおいて逆投影アルゴリズムは画像再構成の要の処理といって良いだろう。CHOらに[1]によって提案されたincremental algorithmには致命的なオーバーヘッドが存在する。本論文では、彼らの手法の画素探索方法に改良を加え、オーバーヘッドの削減を行なった。また、各投影方向のジオメトリの相互関係を考慮したアルゴリズムも紹介している。
論文難易度 ★☆☆☆☆
[1]Z. H. Cho, C. M. Chen, and S. Y. Lee, "Incremental alogrithm-A new fast backprojection schme for parallel beam geometries," IEEE Trans. Med. Imaging, vol.9 207-217, 1990

(発表者 高木 一也)



1999.6.18


A Thresholding Method for Blood-Aggregate Image

O.Chutatape,B.Dowson

IEEE. Eng.Med.Bio. May/June 1996

 血液解析は,診断上もっとも一般的かつ重要ものの1つである.そのうち血液画像に対するヒストグラムを基にする方法が最も普及している.しかしながらそれらの方法では,血液分離の際の独立性などの原因からよい結果が与えられないことが頻繁に生じる.そこで本論文では3つの一般的なヒストグラム法にいくつかの修正を加えることで解析を向上させる.

(発表者 針貝 潤吾)



Unsupervised Filtering of Munsell Spectra

M.Hauta-Kasari, W.Wang, S.Toyooka, J.Parkkinen, and R.Lenz

Lecture Notes in Computer Science 1351 /vol.1,1998

本論文では,分光反射率を再現するのに用いる,非負のカラーフィルタを作る新しい方法を提案した. 従来の部分空間法では,分光データを正確に再現することができるが,固有ベクトルを用いるので負の値が入ってしまい,直接,光学的に利用することはできない. 今回,提案する手法では,部分空間法とほぼ同様の色空間をカバーするベクトルを,監修なし競合ニューラルネットワークを利用して探す. 得られたベクトルはすべて正値から成り立つため,それをフィルタとして利用できる. Munsellカラー色表を用いて行なった実験では,得られたフィルタは部分空間法により求めた固有ベクトルとほぼ同じ色空間をカバーしていることを示した.

(発表者 細井 麻子)



1999.6.25




Optical Effects of Ink Spread and Penetration on Halftones Printed by Thermal Ink Jet

J.S.Arney and Michael L.Alber

Journal of Imaging Science and Technology, Vol.42 No.4, July/August 1998
画像のハーフトーン化において,紙の散乱を表したYule-Nielsen効果をもとに発達させたモデルが提案されてきた.この論文ではハーフトーン化において光学的,物理的影響を容易に加えられる確率モデルを導入し,これを改良した. 特にインクの広がりと浸透の影響をモデル化した. 改良確率モデルにより,特にインクの広がりにおいて実験データと良く一致するという結果が得られた. しかし,紙へのインク浸透に対し簡単な仮定を導入したため,浸透に対しては補正しすぎる結果となった.

(発表者 鈴木 義久)



1999.7.2


Scanning Microspectrofluorometry of Rhodamine 123 in Multidrug-Resistant Cells

Jean-Marc Millot, Serguei Sharonov, and Michel Manfait

Cytometry, 17, 50-58, 1994

癌の治療のため薬品を継続的に投与すると,やがて抵抗性が生じて薬が効かなくなる.このメカニズムを細胞中に施した染色液Rhodamine 123(R123)の分布状態から解析した.薬品耐性をもつ癌細胞は,R123に対しても薬品と同様の反応を示すことが知られている.R123の分布状態は,走査型顕微分光蛍光計で測定した細胞中の蛍光強度を,線形分解することにより得られる.実験の結果,薬品耐性をもつ細胞では,R123を細胞の外や細胞下の器官に放出していることが確認された.

(発表者 竹谷 勝)



Figures of merit for comparing reconstruction algorithms with a volume-imaging PET scanner

Paul E Kinahan and Joel S Karp

Phys. Med. Biol. Vol. 39, pp. 631-642, 1994

この論文ではvolume PETに対して2つの3D再構成アルゴリズムの比較を行っている.ひとつはKinahanら(1989)による3D reprojection(3DRP)アルゴリズム,そしてもう一つはDaube-Witherspoonらによるsingle slice rebinning(SSRB)アルゴリズムである.様々なテストファントムに対してシミュレーションを行い,上の2つの再構成法を用いて5つの特性を調査している.

(発表者 西谷 俊助)



Image recovery from data acquired with a charge-coupled-device camera

Donald L. Snyder, Abed M. Hammoud, R. L. White

J. Opt. Soc. Am. A, Vol. 10, No. 5, pp. 1014-1023, 1993

CCDカメラを用いて撮影されたデータをモデル化し,反復手法により撮影データを修復する手法を検討した.このモデルでは点拡がり,光電変換ノイズ,読み出しノイズ,不均一応答,不均一分光応答の影響を取り入れており,さらにバイアス,暗電流電荷キャリア,内部及び外部バックグラウンド放射も考慮している.使用する反復アルゴリズムは,制約付き最尤推定を逐次行い,収束値を物体の強度分布とするものである.実際にハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope:HST)を用いて撮影されたデータから画像を修復した例を示す.

(発表者 宮田 公佳)



1999.7.16


Cluster Validation for Unsupervised Stochastic Model-Based Image Segmentation

David A.Langan, James W.Modestino,and Jun Zhang

IEEE Trans. Image Processing, Vol.7,No.2,February 1998

画像領域分割は、多くの画像解析において重要とされている問題である。多くの場合、分割処理は教師なし(すなわち、トレーニングデータを用いない)の条件下で行なわれることが望ましい。そのとき、分割するクラス数をいかに決定するか(cluster validation problem)という問題が生じる。本論文では、EMアルゴリズムに基づいた領域分割法を使用し、クラス数決定の基準として、よく知られている情報量基準(AIC,MDL,MGZ)と、提案するmodel-fitting手法の結果を比較し、その有効性を示した。

(発表者 佐藤 秀城)



1999.7.23


ハードコピーにおける画質評価手法の適用とその課題について


ハードコピーの画質評価”に関して,会社業務やその他からの経験・知見を踏まえ,以下のようにまとめ,発表します.ハードコピーにおける画質尺度の分類の一例と基本的かつ重要な各画質尺度の概略を示す.また,現状の各種プリンタの画質をなるべく同じ条件で主観的・客観的に評価し,特徴を比較した結果を紹介する.(旧電子写真学会 技術部会第1部会委員編”カラープリント画質を考える”から) 最後に,今後の画質評価の課題として”蛍光を含む色の評価”の従来の問題と最近の動向などを取り上げ展望する.

(発表者 光崎雅弘)



Spectroscopic Diagnosis of Bladder Cancer With Elastic Light Scattering

Judith R. Mourant, Irving J. Bigio et al.

Laser in Surgery and Medicine 17(1995)

米国Los Alamos国立研究所の研究チームが開発したOptical Biopsy Systemの 膀胱癌への適用例を紹介した論文である。膀胱癌の疑いのある患者10人に対して 経内視鏡的にin-vivo測定を実施。測定波長は200〜800nmである。測定対象の 生検を実施し、分光測定結果と病理診断との結果を比較。波長域330〜370nmの 傾斜値を使うことで、感度100%、特異度97%の成績を収めることができた。 発表では、この論文以外に研究チームがOBSを開発した経緯やその他の医学適用 についても紹介する。

(発表者 後野和弘)