2002.4.19

Adaptive Opticsシステムを用いた網膜撮影法と色覚メカニズムの可塑性について

山内 泰樹
富士ゼロックス(株)ドキュメントカンパニー


近年,Adaptive Opticsと呼ばれる補償光学を視覚の分野に通用することにより,眼光学系内に存在する歪みを補正することが可能になった.その結果,これまでは不可能であった生体の精細な網膜像を撮影することが可能となり,さらに網膜構造と色覚の関連性を議論することができるようになった.ここでは,Adaptive Opticsを用いたシステム,及びそれを用いた生体の錐体分布測定方法に関して述べ,さらにL/M錐体比とユニーク黄知覚との関連性について述べる.更に,色覚メカニズムの可塑性を示した長期色順応実験について説明する.
(発表者:山内 泰樹)

Color from shape from color: a simple formalism with known light sources

Mark S. Drew

Optical Society of America(2000)

フォトメトリック・ステレオ法は表面形状を復元するための よく知られた手法であるが,異なる照明下で三枚以上の画像が 必要であった.しかし,Petrov と Antonova は複雑な光源環境 で多色物体に対して一枚の画像を用いるだけで物体の形状を復元 することが出来る手法を提案した.本論文はその複雑な光源環境 が既知な場合を考慮している.光源環境が既知なため,より簡単 かつより安定した方法で物体の形状を復元することが出来る. 形状だけでなく表面色の復元を行うことができ,その精度について も検証を行なっている.
(発表者:奥山 真寛 )



2002.4.26

中間発表



2002.5.10

Measurement and prediction of light scattering by clear coating

M. E. McKnight, T. V. Vorburger, E. Marx, M. E. Nadal, P. Yvonne and M. A. Galler

Appl. Opt. Vol.40, No.13, pp.2159-2168 (2001)

物体の見えと微細構造との関係を調査することは,商品を見えを予測するイメージレンダリングや,材質の開発をはじめとする多くの産業分野においてきわめて重要である.本研究は,その定量化を目的とする米国NISTのAppearanceプロジェクトの一環としておこなわれたものであり,材質の光学的反射特性と表面粗さとの関係を調査している.表面粗さが異なる3種類のアミン硬化エポキシ樹脂の偏角反射特性が測定され,物体の表面形状から求められた偏角反射特性の計算値との比較がおこなわれている.反射光の計算方法として,位相積分による近似,および光線による方法が用いられており,両手法の妥当性を考察されるとともに,物体の見えを予測するためのイメージレンダリング手法への示唆がおこなわれている.
(発表者:赤尾 佳則 )

Using Color Constancy to Advantage in Color Gamut Calculations

John McCann

Proceeding IS&T PICS Conference,2000

画像再現システムでは、各ディバイスの表現できる色域がそれぞれ異なるため、同じ入力画像に対して、見えは完全に一致していないのは現状である。この論文では異なるディバイスで同じ見えの画像を得ることを追求し、Retinex計算を利用してカラー色域問題へ応用する方法を提案した.
(発表者:柏 潔 )



2002.5.24

Fast Volume Rendering Using a Shear-Warp Factorization of the Viewing

Philipe Lacroute & Marc Levoy

Proc. SIGGRAPH '94

X線CT, MRIなどの医療画像撮像システムでは人体の断面画像を元に三次元可視化を行う際, ボリュームレンダリングと呼ばれる手法が用いられる. ボリュームレンダリングは臨床的, 学術的に有用な画像を提供するが, レンダリング処理に時間がかかるといった欠点がある. 本論文はボリュームレンダリングの高速化を目的とする. また発表では本論文で提案されているレンダリング手法を実装したVolPack Volume Rendering Libraryを指導教官の頭蓋部CT画像に適用し, 三次元再構成を行う予定である.
(発表者:田村 信彦 )

Color Correcting Uncalibrated Digital Images

Viad C. Cardei and Brian Funt

J. IS&T Vol.44, No4, pp 288-293 (2000)

ディジタルカメラのγやカラーバランス,センサー応答,撮影照明が未知であるディジタル画像に対して,(1)照明の色度推定,(2)推定された照明に基づいた画像の色補正を行う.照明の推定にはニューラルネットワーク,White Patchアルゴリズム,Grayworldアルゴリズムなどの手法を用いる.ニューラルネットワークに基づいたBootstrappingニューラルネットワークを用いることで他のアルゴリズムよりも十分な精度で照明の色度推定を行った.また色補正については,ディジタルカメラのγなどに影響を受けない手法を用いる.
(発表者:高瀬 紘一 )



2002.5.31

DAB: Interactive Haptic Painting with 3D Virtual Brushes

Bill Baxter,Vincent Scheib,Ming C.Lin,Dinesh Manocha

Proceedings of ACM SIGGRAPH 01, August 2001, pp. 461-468.

現在利用可能なペイントシステムは,マウスを利用して描画したイメージに対し,アプリケーションがそれぞれ効果を付け加えるもので,その修得には一般のアプリケーションの利用方法の場合と同じだけの時間と労力を必要とし,利用者の芸術的センスも損なわれている.そこで今回発表する論文では,この問題を解決すべく,実際のブラシの動的振る舞いや毛先の触覚,塗料に対しモデル化を行い,PHANToMというHaptic Feedbackデバイスを用いて,実際にブラシがキャンバスに触れる感触をリアルに使用者に提供するインタラクティブペイントシステム"DAB"を紹介する.
(発表者:多賀谷 昌志 )

Colorful co-operation between Finland and Japan





In my presentation, I will first introduce the University of Joensuu, Finland and the Department of Computer Science. Then I will talk about our University of Joensuu Color Group. I will present some of my research topics in the field of spectral color analysis, including the research done in co-operation with the laboratory of Prof. Toyooka at University
(発表者:Markku Hauta-Kasari )

Objective measurement of the Optical Image Quality in the Human Eye

R. Navarro

Proc.SPIE on Optical Technologies in Biophysics & Medicine II, 4241 , 127-137 (2001)

画像などさまざまな物体は,最終的に視覚系を通して観察される.そのため人間の資格に対する研究が盛んに行われている.しかし網膜に映る画像は直接表示することができない.この論文では,レーザーやCCDカメラなどを用いて人間の眼におけるMTF,PSF,Pupil Function(瞳孔での波形)の測定を行っている.また,これらの測定を眼内レンズを挿入した目に対しても行い,比較検討などを行っている.
(発表者:石井 和彦 )



2002.6.7

A model of Visual Adaptation for Realistic Image Synthesis

James A. Ferwerda, Sumanta N. Pattanaik, Peter Shirley, Donald P. Greenberg

SIGGRAPH '96, 249-258.

リアルな画像を合成するためには人間が知覚するシーンを正確に再現することが求められる.そこで,光の強度に対する順応の計算モデルを構築するために,精神物理学的な順応に関する実験を行い,そこから得られたデータをもとに順応の計算式を導出する.最終的に照明の強度を数段階に変化させ,その時人間が知覚する画像を合成し,ディスプレイ上に再現する.
(発表者:竹松 祐紀 )

Calculation of the Color Matching Functions of Digital Cameras from Their Complete Spectral Sensitivities

Francisco Martinez-Verdu, Jaume Pujol, Pascual Capilla

Journal of Imaging Science and Technology 46:15-25(2002)

ディジタルカメラの等色関数を求める新たなアルゴリズムを提案する.このアルゴリズムでは分光放射データに基づいて得られた完全な分光感度の相対スケーリングとホワイトバランスを正確に考慮している.これを用いて異なる照明下でのRGBディジタル値を予測する.
(発表者:藤牧 達彦 )

Next-Generation Visual Supercomputing using PC Clusters with Volume Graphics Hardware Device

Shigeru Muraki,Xuezhen Liu,Kwan-Liu Ma et al.

Proceeding IEEE SC2001 Conference

医療画像のボリュームデータなどの大規模な視覚化を必要とするデータでは,その計算コストの膨大さから,より低コストで,拡張性のある計算システムが必要とされている. 本論文ではbinary object-space parallel algorithmを用いて計算の高速化を計り,さらに安価なPCから構成されるPCクラスタと, 画像合成ハードウェアを用いてリアルタイムレンダリングだけでなく リアルタイムシュミレーションも同時に可能なVCクラスタ(Visual computing cluster)を紹介する.
(発表者:池田 哲男 )



2002.6.14

Image metrics in the statistical analysis of DNA microarray data

Carl S.Brow, Paul C. Goodwin, and peter K. Sorger

Proceedings of the National Academy of Sciences 2001, Vol.98, No.16, p.8944-8949

DNAマイクロアレイの画像は,蛍光色素の結合やスライドガラス面などの要因でスポットの画素強度にかなり大きな変動をとる.そこでバックグラウンド値のとり方やスポット内のピクセルごとの画素強度の変化を観測し,分散値などから統計処理を行い,より精度の良い遺伝子発現比を示す.
(発表者:松田 岳博 )

Exploring Ink Spreading

Patrick Emmel, Roger David Hersch

Proceedings of the 8th IS&T/SID Color Imaging Conference: Color Science and Engineering, November 7-10, 2000,Scottsdale, Arizona, USA, pp. 335-341.

本研究の目的はインクの拡散現象(メカニカルドットゲイン)を調べることである.インクジェット印刷において,インクの拡散は色の変化を引き起こす.本研究では少数のサンプルからインクの拡散を調べる方法を提案する.ポリヤの数え上げ理論を利用し,ほかのドットの配置を代表するインクの組み合わせを決定した.インクが重なり合ったときのインクの占める面積率を正確に予測することにより色予測精度を向上させた.提案モデルにより,インクジェットプリンタのキャリブレーションが簡単になることが期待できる.なお,本論文ではインクの種類は2種類までと仮定している.
(発表者:山下 潤 )



2002.6.21

Fast Texture Synthesis using Tree-structured Vector Quantization

Li-Yi Wei , Marc Levoy Stanford University

SIGGRAPH 2000

現在,コンピュータグラフィックス,画像処理において,テクスチャの構築は重要なものである.しかし,その高画質かつ有効なテクスチャを構築するためには作成速度やその質に様々な問題があった.そこでこの論文では,2過程のアルゴリズム,一つはマルコフ確率場,もう一つはマルチ解像度を使用したアルゴリズムを元に,高速かつハイクオリティーなテクスチャ構築アルゴリズムを提案している.
(発表者:大石 誠 )

Polynomial Texture Maps

Tom Malzbender, Dan Gelb, Hans Wolters

Proceedings of ACM SIGGRAPH 01, August 2001

本論文で提案するtexture mappingの新しい手法ではこれまでのtexture mappingでは不十分な表現であった光源方向の変化による再現画像のphotorealismを増加させた.対象物体の周りに半球状に光源を40個〜50個配置し,各光源位置から撮影された画像データから得られる各texelごとの4次多項式の係数を用いることにより再現画像を作成する.この手法を用いて考古学の粘土や石の彫文字を読みとることができた.
(発表者:村上 紘子 )

Spectral-Based Ink Selection for Multiple-Ink Printing I. Colorant Estimation of Original Objects

Di-Yuan Tzeng and Roy S. Berns Munsell Color Science Laboratory Chester F. Carlson Center for Imaging Science Rochester Institute of Technology Rochester, NY

Proc. 6th IS&T/SID Color Imaging Conf., in progress, 1988.

This research has been initiated to determine a set of six basis colorants which are the best representation of artwork. By using linear combinations of the 6 estimated colorants, their spectral information can be accurately reconstructed. In this research, they used PCA (Principle Component Analysis) method determine 6 eigen vectors to obtain those six estimated colorants and proposed a constrained-rotation engine using MATLAB to perform the transformation from the eigen vectors to a set of all positive vectors as the estimated colorants. Finally this set of colorants can be used to synthesize the original artwork with the least metamerical effect between the reproductions and originals.
(発表者:Kunalaya Cherdhirunkorn )



2002.6.28

Light Scattering and Ink Penetration Effects on Tone Reproduction

Li Yang,Reiner Lenz and Bjorn Kruse

Journal of the Optical Society of America(2001)pp.360-366

光散乱もしくはYule-Nielsenと呼ばれる現象や紙層内にインクが浸透することは諧調再現において重要な要素である.この論文では,ハーフトーンサンプルの反射率と三刺激値において,光散乱とインク浸透の両方の効果を考慮して研究した.紙,インク,それらの相互作用の性質は紙層の反射率 ,インク層の透過率 ,インクの浸透を記述するパラメータ ,Yule-Nielsen効果をパラメータ化し,その関数としてインクのドットの反射率,紙の反射率とハーフトン画像の反射率を表す.また、光学的ドットゲインもこのパラメータの関数として表す.さらにインクの浸透が光学的ドットゲインを減少させ,紙での散乱が印刷画像で色をより飽和させて見せることを実際に示す.
(発表者:関根 寿人 )

Photometric stereo under a light source with arbitrary motion

Hideki Hayakawa

Journal of the Optical Society of America, Nov. 1994

本論文は新たなPhotometric-stereo Methodにより、光源方向を変化させて撮影された画像群を用いて光源方向や物体の表面の法線ベクトル、表面反射を求める手法を提案する。また、cast-shadowsやself-shadowsを含む入力画像に対して、照明される部分や影の部分を分類する処理を行う。本手法の有効性を示すために合成データと実際データを用いて実験した。
(発表者:Dang Minh Nguyet )



2002.7.5

Physically-Based Glare Effects for Digital Images

Greg Spencer, Peter Shirley, Kurt Zimmerman, Donald P. Greenberg

Proc. SIGGRAPH 1995

強い光が眼球に入射した場合,眼球光学系内の散乱や回折の影響によりLenticular Halo,Ciliary Corona,Bloomといった現象がおきる.これらの現象を知覚することにより人間は強い光のまぶしさ(Glare)を感じる.本論文では,Glareに関してVision Comunityで紹介されているモデル式をもとにGlareをPSFとしてモデル化している.されに,ディジタル画像に対してこのPSFを適用することにより明るい色をより明るく知覚させ,ディスプレイ装置の有効的なダイナミックレンジを拡大させている.
(発表者:石井 融 )

Synthesizing Bidirectional Texture Functions for Real-World Surfaces

Xinguo Liu, Yizhou Yu, Heung-Yeung Shum

Proceedings of SIGGRAPH 2001

本論文では、BTF合成のための新手法を提案している。実際に測定されたテクスチャ情報と、 shape-from-shading法を用いて抽出されたサンプル表面の微細構造を合わせることにより、任意の光源・視線方向における画像再現を試みる。
(発表者:千葉 玲子 )



2002.7.12

illuminating illumination

Jeffrey M. DiCarlo, Feng Xiao and Brian A. Wandell Stanford University Stanford, California

Color Image Conference 9th(2001)

適切なホワイトバランスを得るために,様々な光源推定の研究が進められてきた.しかし,従来の手法は非常に非現実的な仮定に基づいたものが多く,必ずしも正しい推定が行うことができなかった.本論文ではカメラのフラッシュを用いて,環境光下での画像とフラッシュを使用した画像の2枚の画像を用いることで対象物の色の「偏り」に強い光源推定法を提案している.
(発表者:中尾 大輔 )

Designing lenses to correct periperal refractive errors of the eye

George Smith,David A.Atchison,Chitralekha Avudainayagam,and Kodikullam Avudainayagam

Journal of Optical Society of America,Jan.2002

一般に,角膜周辺部分から入射する光の(periperal)refractive errorは,眼球中心のそれより大きい事が知られている.また周辺部分の光は,眼球光学系の解像力に重要な役割を果たす事が報告されている.本論文では,periperal refractive errorを補正する眼球用レンズの設計法を示す.また,模型眼に設計したレンズを与え,補正をおこなう.
(発表者:鈴木 健太郎 )