2004.4.23
Modulation of perceived contrast by a moving surround
T. Takeuchi and K. K. De Valois
Vision Research, 40, 2697-2709 (2000).
本論文は,画像周辺部の運動によって中心部の観察対象がシャープに見えるという人間の視覚特性に関して述べている.正弦波パターンを用いた実験では,周囲に速い運動が存在する場合に,中心の輝度コントラストが,実際のコントラストよりも最大で 1.5 倍増強されて知覚されることが示された.この効果は,実際の動画像においても確かめられた.ぼかした画像からシャープさを回復することができるこのような人間の視覚特性を利用することにより,新たな画像圧縮技術を提案できるものと考えられた.
(発表者:赤尾 佳則
)
Image-Based Hair Capture by Inverse Lighting
St'ephane Grabli, Franc,ois X. Sillion, Stephen R. Marschner and Jerome E. Lengyel
Proc. Graphics Interface pages 51--58 May 2002
毛の研究対象として毛髪(hair),動物の毛(fur)や衣類の繊維(fiber)などがある.応用分野としては映画やインターネットショッピングなど多岐にわたる.毛の色は肌と同様に内部散乱により決定されるが,肌と異なる点として透過光を取得できることがあげられる.そのため肌に比べ,光学特性を容易に取得することができる.これまで光学特性計測からモデルベースの研究が多くなされている.しかし毛の形状などを正確に取得する研究はなされていなかった.本論文では画像に基づいた毛髪の形状取得手法が提案されており,毛への新しいアプローチを行っている.
(発表者:高瀬 紘一
)
2004.4.30
EigenSkin: real time large deformation character skinning in hardware
Paul G. Kry, Doug L. James, and Dinesh K. Pai
Symposium on Computer Animation, Proc. of the 2002 ACM
本論文ではCGにおける、物体のリアルな変形シュミュレーション法を提案する。商用に頻繁に用いられるSSD(Skeltal-Subspace Deformation)における誤差を主成分分析のアイデアを用いて改善する。SSDは内部に骨格を持つ形状において有効に機能するため、本論文では手を変形形状の対象としている。手の変形を有限要素法により求め、これとの差において評価を行った。変形形状を規定するパラメータが少ないことから、頂点プログラミングを利用した応用についても述べている.
(発表者:田村 信彦
)
Proposed metameric indices for goniochromatic objects
J.M.Medina Ruiz
Color Research and Application, volume 27 number 6 december 2002
本論文は物体の色を表す時、最も重要にされる等色条件が光源の入射角度によってどのように変わるかと,物体の色を等色にするために入射する光源の分光がどれほど変化するのかを研究した論文です.
(発表者:金 さん
)
2004.5.7
Shader Lamps: Animating Real Objects With Image-Based Illumination
Ramesh Raskar, Greg Welch, Kok-Lim Low, Deepak Bandyopadhyay
Eurographics Workshop on Rendering 2001
近年CG技術が急速に発展しているが,建築家や都市設計者は模型を作成するのが一般的である.これは,現実の素材や形,また空間的な関係が伝わりにくいという考えからである.そこで,本論文ではプロジェクターを使用して白色の模型に画像を投影することにより,実世界でCGの画像を忠実に再現する手法を紹介する.複数のプロジェクターで画像を投影する際に問題となる異なるプロジェクター投影画像の境界部の補正について主に述べる.
(発表者:植田 久美子
)
Using Specularities for Recognition
Margarita Osadchy, David Jacobs, Ravi Ramamoorthi
Proceeding of the Ninth IEEE ICCV 2003
画像内から物体を認識するシステムにおいて,光沢がある物体の画像では,通常では表面反射成分によるハイライト部分は,ノイズとして扱われる.本論文では,ハイライト部分を有効な情報源として利用することで,照明や物体の反射特性といった情報を持たない画像から,物体の認識を行う方法について述べる.
(発表者:阿倍 祥子
)
2004.5.21
Collision Detection and Tissue Modeling in a VR-Simulation for Eye Surgery
Clemens Wagner, Markus A. Schill, and Reinhard M舅ner
Eurographics Workshop on Virtual Environments 2002
Virtual Realityを用いた手術シミュレータにおける接触判定および組織のモデル化手法を提案する.本論文では手術シミュレータに必要なリアルタイム性を得るため,計算負荷の大きいgeometry-basedな手法ではなくimage-basedな手法を用いて接触判定を行う.また,正確なシミュレーションとリアルタイム性を両立させるため,眼内組織のモデル化に用いる新たな手法について述べる.
(発表者:遠藤 恒文
)
Affine invariant classification and retrieval of texture images
Jianguo Zhang, Tieniu Tan
Pattern Recognition 36(2003) pages 657-664
本論文では,アフィン変換により影響を受けない,テクスチャ画像の署名(signature)によるイメージ検索・分類の手法を提案する.テクスチャのアフィン変換のスペクトル表現に基づき,スケールにより影響を受けない,スペクトルの分布による署名 (signature)を抽出する.これによりPDV(Peaks Distribution Vector)を算出し,テクスチャの類似度を求めることで,検索・分類を行う.
(発表者:岡口 紗綾
)
2004.6.4
A fast algorithm for level set-like active contours
B. Nilsson, A.Heyden
Pattern Recognition Letters 24(2003) 1331-1337
近年,CGやsurface modelling/editingや医療画像のsegmentationの分野において注目されているLevel Set Methodと呼ばれる手法が存在する.本論文ではLevel Set Methodの解説を行うと共に,その欠点である計算時間を短縮する手法を提案する.
(発表者:奥井 雅博
)
Image Analogies
Aaron Hertzmann, Charles E. Jacobs, Nuria Oliver, Brian Curless, David H. Salesin
SIGGRAPH 2001 Conference Proceedings
本論文ではImage Analogiesと呼ばれる画像を合成する手法を示す. Image Analogiesは2段階の処理を伴う.まず原画像Aとそのフィルタを適用した画像A'よりその間に存在する関係をフィルタとして習得する.続いて習得したフィルタを目的画像Bに適用することにより,同様な特徴を持った画像B'を生成する.すなわちA:A'::B:B'となるような合成を行うことを目標とし,良好な結果を得ることができた.
(発表者:上村 健二
)
2004.6.11
Clustered Principal Components for Precomputed Radiance Transfer
Peter-Pike Sloan, Jesse Hall, John Hart, John Snyder
Proc. of ACM SIGGRAPH 2003 Sec.PRT
環境マップ等球状光源をSH投射することから始まるSloanのPRTは,線形演算が得意なGPUの特性をうまく利用した画期的な方法で,Real-Time Renderingへの道を大きく切り開いたが,いくつか問題が残っている.1つはSH投射を行うことにより高周波信号が除去されてしまうこと,1つはSubsurface ScatteringやBSSRDF等複雑な光現象を再現するためのExit Transfer Matrixが実用上25x25の行列となり,GPUによる演算が過負荷気味になってしまうこと等があげられる.本論文では,この2つの問題を解決するために,CPCA(Clustered Principal Component Analysis)を用いた信号圧縮と高周波成分への対応を目指す.GPUゼミから続くSloanのPRT論文紹介の第3回.
(発表者:中川 慎司
)
A Real Time Face Tracking And Animation System
Xiaozhou Wei, Zhiwei Zhu, Lijun Yim, Qiang Ji
first IEEE Workshop on Face Processing in Video, in conjunction with IEEE International Conference on Computer Vision and Pattern Recognition (CVPR'04)
本論文では,実時間顔追跡とアニメーションを行うシステムを提案する.このシステムは,(1):赤外光線による実時間顔特徴追跡,(2):顔の3次元画像による実時間表情生成,の2つの要素からなる.検知された顔の特徴に基づき,推定アルゴリズムと顔の動きパラメーターから3次元顔画像をアニメーションさせる.
(発表者:牧野 貴雄
)
2004.6.18
Rendering HDR Images
Garrett M. Johnson and Mark D. Fairchild
The 11th IS&T/SID Color Imaging Conference, Scottsdale, p36-41 (2003)
カラーイメージングシステムは年々改善されており,ハイダイナミックレンジ(HDR)なシーンを捉えることに関しては改善が行われてきている.しかし,画像を表示するディスプレイはダイナミックレンジが制限されており,制限されたダイナミックレンジ上にHDRを再現するため,Tone-MappingなどによりHDRの圧縮を行う必要がある.本論文ではImage Appearance ModelであるiCAMのフレームワークの使用法について論議し,iCAMを用いたHDRの画像をディスプレイ上に表現する手法について述べる.
(発表者:石原 大輔
)
Efficient Rendering of Local Subsurface Scattering
Tom Mertens, Jan Kautz, Philippe Bekaert, Frank Van Reeth, Hans-Peter Seidel
Pacific Graphics 2003
肌や牛乳などの透明物体のレンダリングは計算負荷が高く,インタラクティブに取り扱うのは非常に困難である.本論文では効果的にサブサーフェススキャッタリングの積分をするために重点的サンプリングを採用し,表面全体の積分を行う代わりにイメージスペースで放射照度を積分することによって計算コストの大幅な削減を行う.一連の処理をすべてGPU上で行うことにより視線方向,光源方向,物質の形状や特性等をすべてインタラクティブに操作可能にする.
(発表者:薄葉 亮子
)
2004.6.25
Planned Sampling of Spatially Varying BRDFs
Hendrik P.A. Lensch,Jochen Lang,Asla M.Sa,and Hans-Peter Seidel
EUROGRAPHICS 2003
三次元物体のBRDFを測定するためには,多数のカメラ方向,照明方向からの画像を撮影する必要がある.本論文では,推定に用いるBRDFパラメータの中で不確定要素が多いデータが最小になるように新しいカメラ,照明方向を決定し,効率良くBRDFを測定する手法を提案する.この不確定要素をグラフィックカードで計算することで高速に次のカメラ方向を決定する.結果として,少ない測定回数でもBRDFを推定することが出来た.
(発表者:河西 将範
)
2004.7.2
Dynamic Real-Time Deformations using Space & Time Adaptive Sampling
Gilles Debunne, Mathieu Desbrun, Marie-Paule Cani, Alan H. Barr
Proc. SIGGRAPH 2001
本論文では,バーチャルリアリティ空間における柔らかい物体(弾性体)の変形モデルを提案する.本研究分野では,インタラクティブ性を再現するため高いフレームレートを保持することが重要である.そこで提案されている手法では,CGのレンダリングにおけるLOD(Level of Detail)に類似した発想のもと,物体で変形の大きい部分には細かいメッシュを,逆にほとんど変形をしていない部分には粗いメッシュを適応的に配置すること,更に変形変化量に応じてタイムステップも適応的に変化させることで計算負荷を抑えることを行っている.
(発表者:多賀谷 昌志
)
Learning Low-Level Vision
W. T. Freeman, E. C. Pasztor, O. T. Carmichael
International Journal of Computer Vision 40(1), 25-47, 2000
本論文では,学習に基づいてイメージからシーンを推定する方法を提案する.具体的には,シーンとそれに対応するイメージの関係をマルコフネットワークを用いてモデリングし,イメージが与えられたときのシーンをベイジアン・ブリーフ・プロパゲーションを用いて推定する.本手法を超解像度化,反射率と影の判別,動き推定に適用し,その有効性を示した.
(発表者:菅谷 隆
)
2004.7.9
Steady-State Feedback Analysis of Tele-Graffiti
N. Takao, S. Baker, and J. Shi
Proceedings of the IEEE International Workshop 2003
本論文では遠隔でのスケッチインターラクションシステムに重要なアルゴリズムについて、Tele-Graffitiの開発を通じて述べる。それはカメラとプロジェクタを高速通信で結んだ、紙ベースの記述コミュニケーションである。我々は3つの機能をこのシステムの特長とした。(1)リアルタイムに紙位置を認識する、(2)素手認識によるインターフェイス、(3)自動記録及び再生。これら機能を実現する上で必要な認識技術、対環境オートゲイン、カラーバランスについて、詳細を発表するとともに、今後のプロジェクタ−カメラシステムの展望についても述べる。
(発表者:山本 昇志
)
Efficient Visibility Processing for Projective Texture-Mapping
Yizhou Yu
Computer&Graphics vol.23 245-253 1999
イメージベースドレンダリングされた構造物に正確なテクスチャを投影するためには,視界の情報が必要となる.この論文ではレイトレーシングとアイテムバッファを使うことにより各カメラの位置から見えるポリゴンを定義するアルゴリズムを提案する.またリアルタイムなイメージベースドレンダリングを目指し,テクスチャマッピングの速度を加速させるためにポリゴンの数を最小限に抑える.
(発表者:袴田 真一
)
2004.7.16
Perception of surface reflectance of 3D geometrical shapes: Influence of the Lighting mode
Byung Geun Khang, Jan J Koenderink, Astrid M L Kappers
Perception, 2003, volume 32, pages 1311-1324
物体の表面反射の知覚に関する論文である.
知覚される3次元形状の表面反射は,光源の種類,反射率,ポリゴン数などにより影響を受ける.従来までに,表面反射率を推定する様々な研究がなされてきたが,本論文では,表面反射率の違う2枚の3次元形状を3種類の環境で再現し,表面反射の知覚に関する主観評価実験を行っった.結論として,表面反射の知覚がどのように発生するか述べる.
(発表者:中島 朋紀
)
Surgical Navigation by Autostereoscopic Image Overlay of Integral Videography
Hongen Liao, Nobuhiko Hata, Susumu Nakajima, Makoto Iwahara, Ichiro Sakuma, Takeyoshi Dohi
IEEE Transactions:Information Technology in Biomedicine, Vol.8 No.2, pp.114-121, June 2004.
本論文は,autostereoscopic image overlay の技術とintegral videography (IV) の技術を用い,ハーフミラーで患者に3次元画像を重ね合わせる手術ナビゲーションシステムを説明する.また,開発したシステムの有用性を示すために3つの実験を行っている.このシステムにより,精度が高くかつ低侵襲の手術が実現できる可能性を示す.
(発表者:小石 毅
)
2004.7.23
情報画像工学と博物館について
情報画像工学の分野で行われている研究と,博物館において求められている技術との
関連性についてご紹介させて頂きます.博物館では,文化財や歴史資料の 収集,調
査,保存は重要な仕事です.その過程で,様々な写真撮影が行われていますが,文化
財の調査や解析,さらには歴史研究支援のためにも,情報画像工 学的手法が求められ
ています.分光反射率は文化財の持つ固有の情報であり,古文書ではどのような質の
紙に書かれたのかは重要な歴史情報です.展示室では 質感豊かな表示手法が望まれて
おり,インタネットを介した情報発信も必要性が増しています.国立歴史民俗博物館
を例として,情報画像工学に期待すること などを発表させて頂きます.
(発表者:宮田様(歴博)
)
紙の製造方法について
紙製造において品質管理項目は多数ありますが、印刷用紙では、紙の白紙光沢、印刷光
沢、
面感(ムラ)が重要視されます。紙の設計方法、製造方法の違いにより、これら光沢やム
ラの
状態は異なるものとなります。今回、製造時に光沢やムラに影響を及ぼす要因に主眼をお
いて
、紙の製造方法について説明させていただきます。
(発表者:西山様(三菱製紙)
)